「仕方がないわ、生きていかなければ!」

台詞のbaton9

神山征二郎(映画監督)→高久律子(伊藤正次演劇研究所OG)

「仕方がないわ、生きていかなければ!
(間)ね、ワーニャ伯父さん、生きていきましょうよ。
長い、はてしないその日その日を、いつ明けるとも知れない夜また夜を、じっと生き通していきましょうね。運命がわたしたちにくだす試みを、辛抱づよく、じっとこらえて行きましょうね。今のうちも、やがて年をとってからも、片時も休まずに、人のために働きましょうね。そして、やがてその時が来たら、素直に死んで行きましょうね。」

作チェーホフ 神西清[訳] 
戯曲『ワーニャ伯父さん』(新潮文庫)

ある程度の年齢になってわかる主人公ワーニャの心の叫びが痛い程胸を打つ作品。姪っ子のソーニャが、伯父を励ますラストの力強く肯定的な慈愛に満ちた台詞が忘れられない。

★batonは高久→伊藤演劇研究所OBで、夫でもある和田緑郎さんへ