「兄弟牆に鬩げども、外務を禦ぐ」

台詞のbaton11

高久律子(伊藤正次演劇研究所OG)→和田緑郎(伊藤正次演劇研究所OB)

「兄弟牆に鬩げども、外務を禦ぐ(けいていかきにせめげどもそとあなどりをふせぐ)か・・・・・・あはゝゝゝ。」

作 菊池寛
戯曲『時の氏神』

今から31年前、伊藤演劇研究所に入って最初に取り組んだ作品が菊池寛『時の氏神』です。
貧しき小説家である相良英作とその妻ぬい子が喧嘩し、ぬい子が家を出ようとしたときに、同じく夫婦喧嘩して家出してきた従妹の芳子がたずねてきます。家に居られては困る夫婦は、協力して芳子に里心をつけて追い返そうとしますが、そのとき思わず出た英作の台詞。もとは中国の故事で、家の中で兄弟が内輪喧嘩をしていても、外から侮辱を受ければ、共にそれを防ぐという意味。
新型コロナウイルスの発生源をめぐり、米中が対立している中、両国トップに聞かせたい台詞。今は互いに協力してワクチン等の開発をし、一日も早く終息するために努力して欲しい。喧嘩している場合ではないと思うのですが・・・。

★batonは和田緑郎→酒井政利さんへ
「伝説のプロデューサー」。研究所時代から毎回欠かさず芝居を観てくださっている恩人です。