「どんな鳥も想像力より高く飛ぶことはできない」
台詞のbaton13
和田緑郎(伊藤演劇研究所OB)→酒井政利(音楽プロデューサー)
「どんな鳥も 想像力より高く飛ぶことはできない
寺山修司
言葉は時の曲馬(サーカス)である」
新レコード会社CBSソニー発足(1969)、第一弾として念願だった寺山修司さんと組んで2カ月以上打ち合わせを重ね制作。その深夜のレコーディングスタジオで、寺山さんが何気なく吐いた言葉。
作品は『時には母のない子のように』作詞 寺山修司
10代にして、短詩型表現者として自己確立したひとの台詞。
彼は私と同い年でありながら、忙しなく動きまわる私を笑いながら、少年を診るかのように難問を突きつけてきた。あの体験、吐く言葉が音楽プロデューサーとして私の中で孵化したことも事実。例えば他に考えさせられたのは、
「ぼくは不完全な死体として生まれ 何十年かかかって完全な死体となる」など
それも、うどんを口にしながら、おだやかな口調で決して病んでいる表情でもなく…。
一般的な死が訪れ、何年かして、強烈な感性の塊のような神経系が死を招く。それが「完全な死体」なのだと暗示していたと思う。亡くなる数日前、話でもと突然の連絡。急いで中華料理屋を予約。一時間近く談笑。
その数日後、訃報にふれ、寺山さんは「完全な死体」をまさに完成したのだと思った。余りにも豊かすぎるあの強烈な感性が、同時代の人よりも早く、異なる世界へと運ばれたのだと思う。
★batonは酒井政利→竹内修(伊藤正次演劇研究所OB)
※画像はレコード 歌唱カルメン・マキのジャケット